インプラントは、むし歯や歯周病などが原因で失われた歯の見た目や機能を回復するための治療法です。天然の歯のような自然な見た目と使い心地が得られます。本記事では、インプラント治療のメリット・デメリット、インプラント治療の流れ、インプラント治療後のケアなどについてくわしく解説します。
インプラント治療とは
インプラントとは、むし歯や歯周病、外傷、腫瘍、先天性欠如などによって失われた歯の代わりに人工の歯根を埋め込み、その上に義歯などを装着する治療法で、歯の見た目と機能の回復が期待できます。「第三の歯」「第二の永久歯」とよばれることもあるインプラントには50年以上の歴史があり、世界中でインプラント治療が行われています。インプラント治療は、1本の歯からすべての歯がなくなった場合まで適用できる画期的な治療方法です。
インプラントの材料には強度が高く、生体との親和性が高いチタンやチタン合金が主に使用されています。
当院のインプラント治療の特徴
京セラの国産インプラントを導入
京セラのインプラントは、国産インプラントメーカーの中で最も長い歴史を持ち、その実績から信頼性と安全性が確立されています。当院では、専門的な知識と技術力に基づいて、患者さんが安心してインプラント治療を受けられるよう努めています。
インプラントを希望される方はもちろん、治療に興味があるが不安を感じている方も、ぜひ一度当院にご相談ください。
当院のインプラントシステム
フリーハンドに頼らない
従来のインプラント治療は、歯科医師の経験・感覚に頼ることがほとんどです。ただフリーハンドでは位置や深さがズレてしまいかねません。
当院では、インプラントを正確に埋入するためのサージカルガイドと呼ばれるエールガイド(目印)を使用しています。
下顎には重要な神経・動脈、上顎には上顎洞という骨の空洞があったりします。術前のシュミレーションが甘いと、インプラントで麻痺が残った、骨から逸脱してしまった。などという症例の多くはこれが原因です。
そこで、当院ではこのような事故が起きぬようサージカルガイドを用いて正確な治療を行います。今までは“人の手でおこなう手術だから起こってしまった”という事故も、エールガイドの助けがあればまず起きません。
エールガイドとは
・医師と技工士による同時遠隔操作が可能
通常のガイドでは、医師が取った患者様の口腔模型を技工士に送り、後はお任せするというケースが一般的です。しかし実際に患者様の口腔内を見ていない技工士にお任せして、果たして正確なガイドが作製可能なのでしょうか。
エールガイドはこの点に着目して開発された、新しいタイプのサージカルガイド。インターネットを使用して、医師と技工士がCTを確認しながら綿密な打ち合わせを行えるため、インプラントを埋め込む「位置・角度・深さ」など、歯科医師の設計を忠実に再現することができるのです。
・外科と補綴、両方を考慮した設計ができる
CTを確認しながら同時遠隔操作による打合せで、実際に製作する技工士と被せ物を考えた設計を行います。 なお、AIG専任のインプラント経験が豊富な技工士が制作しております。
・精度が高い
ほんの数ミクロン単位のズレが、インプラント治療の可否を決めることとなります。スリーブの位置設定には誤差0.002mm以内のレゴブロックを使用しています。そのため、作業工程での微細なズレも生じることがありません。
患者さんへの負担軽減
当院のインプラント治療では、術前のシュミレーションをしっかり行いインプラントの埋入位置を決めるので、基本的に歯茎の切開しない手術(フラップレス手術)、必要以上の骨削りを行いません。
よって、外科的侵襲を少なくして、痛みや腫れ、出血を抑えることが可能です。
エールガイドでピンポイントに埋め込むことで、手術も短時間となり患者様の負担を軽減させられます。
※ただし状況によってはフラップレス手術をお断りする場合もございますのでご了承ください。
患者様一人一人に合った、負担の少ない最善の治療を提案させていただきます。
エールガイド流れ
①治療前の歯型模型作成
現在の口腔状態に適合したマウスピース型ガイド(インプラント手術の精度を高めるためのマウスピースのようなもの)を作成するために歯の型取りをして、治療前の模型を作成します。
②模型に適合するマウスピース型ガイドの作成
マウスピース型ガイドを、よくある3Dプリンタではなく、製造誤差が0.002mm以内で作られているレゴシステムを使用して作成します。
このレゴシステムを使用することでマウスピース型ガイドと歯のズレを少なくし、インプラント手術の精度を高めます。
③マウスピース型ガイドの適合確認
実際に口腔内にマウスピース型ガイドを装着し、ガタつかないか、カラーマークが歯の先端と接しているかなどの適合確認を行います。
④CTの撮影
お口の中でマウスピース型ガイドの適合確認が終わったら、実際に装着した状態でCTの撮影を行います。ガイドとがずれていないかCT上でも再確認します。
⑤技工士と埋入位置の同時設計
CTで撮影した画像をリアルタイムで技工士と設計画面を見ながら、設計の指示と確認を行います。
その後マウスピース型ガイドに設計に基づきスリープ(正しい位置に正確にインプラントを埋入するための外科用ドリル等を誘導するための穴)をあけます。
スリープによってインプラントの正確な深さ・位置・角度が決まります。
⑥エールガイドの再適合確認
スリープ(穴)があいたエールガイドが届いたら、再度エールガイドを装着し、ズレや浮きがないかの確認を改めて行います。
※万が一適合しない場合は使用できないため、再作成となります。
⑦CT撮影による最終チェック
再度エールガイドを装着した状態でCT撮影を行い、適合・設計の最終確認を行います。
撮影したCTデータを用いて、撮影された実際のスリープからのインプラントの位置・深さ・角度などを計測します。
スリープの高さや、インプラントの位置が解剖学的問題はないか、神経に近くないかなどの視点から確認します。
⑧オペ前の口腔内チェック
エールガイド使用にあたって問題がないかを確認します。
主に、開口量は十分か、舌圧エールガイドが圧迫されていないか、嘔吐反射がないかなどをチェックします。
⑨エールガイド装着・インプラント手術へ
しっかりとエールガイドを適合させインプラント手術に入ります。
エールガイドの品質
オペ当日、ガイドが合わなかった、という話を聞いたことはありませんか?オペ現場でのガイドの不安要素は三つあります。
「口腔内にしっかりフィットするか?」
「ガイド孔は設計どおりか?」
「設計どおり埋入できるか?」
エールガイドは精密な製作で、これらを全てクリアしています。
誤差を生まない理由
一般的な製作では、PC作業によって模型データをCTデータと合わせ、最終工程でガイド本体を製作します。
エールガイドは、最初にガイド本体を製作し、口腔内でCT撮影を行いますので、PCで合わせる作業そのものがありません。また、適合確認も最初に行いますので、手術当日にフィッティングの調整が必要になることもありません。
エールガイドが目指すこと
エールガイドは、『手術の不確実な要素を排除し、術者がしっかりとコントロールできる安全な術式』を提供しています。インプラント手術の難しさは、骨の中を確認しながら手術できないことにあります。目視できない以上、どんなに経験や技術があってもフリーハンドでは不確実で、設計通り常にピンポイント埋入することは不可能です。術者の技術や経験を補完する高精度のサージカルガイドが必要です。
インプラントのメリット
自然な見た目と使い心地
インプラント治療では義歯をしっかりと固定できるため、天然の歯と遜色ない自然な見た目と使い心地で、違和感なく使用することができます。天然の歯と同じようにしっかりと強く噛むことができるため、食事も楽しむことができます。残っている歯に影響を及ぼさない
インプラント治療では、残っている歯を削ったり装置を取り付けることをしないため、他の歯に負担をかけずに治療することができます。インプラントのデメリット
全身状態が良くないと適用が難しい
インプラント治療では人工歯根を埋め込むための外科的な手術が必要になるため、手術を受けられるような全身状態でなければインプラント治療を適用することは難しくなります。糖尿病や高血圧症の方は手術に対するリスクが高くなるため、適切な管理が重要です。費用が高額になる
インプラント治療はほとんどが保険適用外となるため、自己負担の費用が比較的高額になります。歯科医院によって費用は異なるため、治療内容や保証範囲などを事前にしっかり確認するようにしましょう。手術後のメンテナンスの重要性
手術で埋め込んだインプラントを長持ちさせるためには、適切なメンテナンスの継続が不可欠です。まず、術後しばらくはインプラントを顎の骨にしっかり結合させるため、余計な力をかけないよう注意が必要です。数日間は、インプラントを埋め込んだ部分で咬まないようにしてください。また、抜糸まではブラッシングも控えましょう(次の日の状態によってブラッシングの時期を決めます)。
インプラントが安定した後は、天然歯と同様のケアが求められます。さらに、定期検診にお越しいただき、異常がないかのチェックや専門的なメンテナンスを受けることが大切です。これらをきちんと行うことで、インプラントを半永久的に使い続けることが可能です。
当院では、手術後のメンテナンスを重視しており、患者さんに定期検診の日程をご案内しています。埋めたインプラントを長持ちさせるために、ぜひ忘れずにご来院ください。
インプラント治療の流れ
診察・カウンセリングと検査
治療の必要があるむし歯や歯周病などがある場合は、インプラント治療前に治療やクリーニングを行います。
インプラント手術
インプラントと骨が結合するのを待つ
上部構造の装着
咬み合わせや見ばえなどのチェックを行い、その都度調整します。再度、型取りと咬み合わせの確認を行い、最終的な歯を入れて治療が完了します。